電気主任技術者(以下、電験資格者)は、技術系資格の中で「安定した需要」と「比較的高い待遇」を両立している数少ない専門職です。しかし、ネットにはさまざまな情報があり、年収の印象も「400万円〜1000万円以上」と幅広く、実際にどの程度の収入が期待できるのか分かりにくいという声が多くあります。
このコラムでは、現場視点で見たリアルな給与事情、働く業界別の年収の傾向、そして近年の高騰傾向の背景まで詳しく解説します。
■ 1. 電気主任技術者の年収は“働く場所で大きく変わる”
電験保持者の年収は、
「企業の規模」「業種」「施設の規模」「選任か否か」この4つの要素で大きく変動します。
まず大まかなレンジを示すと、以下のようになります。
働き方・業種おおよその年収レンジ
ビル・商業施設の設備管理(非選任)350〜500万円
ビル・工場の主任技術者(選任)450〜650万円
プラント・メーカー系の設備管理500〜700万円
データセンターの電気主任技術者600〜900万円
電力会社・インフラ企業600〜900万円
外部委託(保安法人所属)500〜800万円
独立(個人事業・複数契約)700〜1200万円以上
ご覧の通り、幅は広いものの、技術系としては高めの水準が維持されています。
とくに近年は電験保持者の引き合いが急増しており、「選任手当が月5〜10万円上乗せされる」「資格手当が年間30万円以上」といったケースも一般的です。
■ 2. 選任すると年収はどのくらい上がるのか?
電気主任技術者の待遇アップの大きなポイントは、“選任されるかどうか” です。
選任とは、事業者の電気設備の保安監督として正式に登録されることを指します。選任されると、企業は法的にその技術者に設備の安全管理を任せるため、責任は重くなります。しかし、それに見合う待遇が設定されるのが一般的です。
● 選任に伴う収入アップの例
資格手当:月1〜3万円 → 3〜10万円へ上昇
主任技術者手当:月2〜5万円追加
役職手当:主任〜課長代理クラスへ昇格する場合も
全体として、選任されると年間で50万〜150万円程度の収入アップになるケースが多いというのが実態です。
■ 3. 高収入が狙いやすい業界
● ① データセンター(DC)
今もっとも電験資格者の需要が高いのがここです。
クラウド需要の爆発的増加により、世界中でデータセンター建設が進んでいます。
年収600〜900万円台が一般的で、外資系データセンターでは1000万円超えも十分にありえる領域です。
専門性と人材不足の組み合わせで、待遇が急上昇しています。
● ② 大手メーカー・工場・プラント
製造ラインの電気設備は高度で複雑なため、電験の専門知識が強く求められます。
30代で600〜700万円、40代で700〜900万円に到達しやすい業界です。
● ③ 電力会社・インフラ企業
地域電力会社、送配電会社、鉄道・水道などのインフラ企業も高待遇の代表格です。
大手の場合、初任給から安定ボーナス4〜6ヶ月年収700〜900万円クラスと、公務員のような安定性と高待遇を両立しています。
● ④ 外部委託(保安法人)・独立
電気主任技術者は法律上必須の存在であり、企業が外部委託を選ぶケースが急増しています。
保安法人所属は年収500〜800万円、個人で独立すれば1000万円以上も現実的です。
独立が強い理由契約数を増やすほど年収が伸びる初期費用がほぼ不要高圧設備の数だけ案件がある。
電験三種でも十分に戦える資格が“そのまま収入に直結する”という点では、技術系の中でも極めて魅力のあるジャンルです。
■ ■ 4. 年収が上がりやすい人の特徴
電験資格者の中でも、待遇が上がりやすい人には共通点があります。
トラブル対応ができる(判断力)
工事や点検の計画立案ができる(計画力)
協力会社との折衝や現場管理ができる(コミュ力)
最新設備・再エネ・DXなどの知識に敏感。
電験の資格だけではなく、「設備を俯瞰して管理できる力」が年収の伸びしろを決めます。
■ 5. 給与が上がっている背景:需給バランスの崩壊
電気主任技術者の待遇がここ数年で上昇している理由は、“構造的な人材不足” にあります。
具体的には、ベテラン層の大量退職、データセンターや再エネの急増で需要が増加、若手技術者の電気業界離れ
電験の難易度が高く、合格者が増えにくい。
これらが重なり、「求人は多いのに人がいない」状態が常態化しています。
その結果、待遇・年収が上がり続けているのです。
■ まとめ
電気主任技術者は「安定 × 高需要 × 高待遇」を兼ね備える専門職です。
働く業界によって年収は大きく変わりますが、全体として他の技術資格より高水準で推移しています。
特に、
データセンター
電力会社
大手メーカー・工場
外部委託・独立
これらは、将来性・収入ともに魅力が大きい分野です。
今後も需要は増え続けると予測され、電験を取ることは“安定したキャリア”と“高収入の可能性”の両方を手にする選択肢になります。