電験三種とは?

電験三種とは?――難易度・合格率・勉強期間のリアル

電気分野で最も知名度が高い資格といえば、「第三種電気主任技術者」、いわゆる電験三種です。電験三種は、ビル、工場、商業施設、病院、データセンターなどの5万ボルト受電以下の高圧施設の、あらゆる電気設備の安全運用を担う“電気主任技術者”になるための登竜門であり、電気の基礎から発電・送電・変電・保護・法律まで幅広い知識が求められます。電気の世界でキャリアを築きたい人にとって、最初に現れる大きな壁でありながら、同時に大きなチャンスでもあります。


 電験三種の最大の特徴は、「国家資格であり、難易度が高いにもかかわらず、誰でも受験できる」という点です。受験資格が不要のため、学生や社会人、未経験者でも挑戦できます。私も新卒はまったく電気に関係なかった上に、現場経験もない未経験からの受験でした。実際、合格者には文系出身者や電気とは無関係の業界から転職を目指す人も多く、“キャリアチェンジを可能にする資格”として注目されています。私も文系ですし、周りの仲間や先輩たちの中にも文系出身者からこの資格を取得し、電気主任技術者としてキャリアアップ働き方の改善をした人も多くいます。
 とはいえ、難易度は決して低くありません。電験三種の合格率は例年8〜12%前後で推移しており、国家資格の中でも上位の難しさといえます。特に「理論」は最も基礎でありながら、多くの受験者がつまずく科目です。ここで扱う計算は中学~高校数学レベルですが、電磁気・交流回路・ベクトルなど、日常生活では触れない内容が含まれるため苦戦する人が少なくありません。


 では、どれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか?一般的には「800〜1000時間」と言われています。毎日2時間勉強すると1年、週15〜20時間なら半年〜10ヶ月程度が目安です。社会人にとっては決して軽くない負担ですが、それでも多くの人が挑戦するのは、電験三種の価値が非常に高いからです。この仕事はAIにも取ってかられない部分が多くあり、平均年齢も70代と、人材不足が顕著です。


 電験三種を取得すると、電気主任技術者として企業から高い評価を受けるだけでなく、転職市場でも“資格を持っているだけで面接が通りやすい”と言われるほど需要があります。日本の電気設備は広範囲に存在し、老朽化と技術者不足が進んでいるため、電験所持者は「引く手あまた」の状態です。


 また、電験三種の魅力は資格取得後にも広がります。5年以上の実務経験を積めば(講習を受けたり、条件によっては最短1年の実務経験でも可)、電気主任技術者として国に届け出を行い、ビルや工場の電気設備管理を担当できるようになります。さらに、保安法人に所属して複数の顧客を巡回管理したり、独立してフリーランスとして働いたりと、働き方の幅が広がる点も大きな特徴です。


 電験三種は決して簡単な資格ではありません。しかし、勉強を進めるほど電気の面白さが深まり、自分のスキルが確実に積み上がっていく実感があります。努力が確実に報われる資格であり、電気業界への扉を開く強力な鍵です。「キャリアを変えたい」「専門性を高めたい」「一生ものの資格を手に入れたい」という人にとって、電験三種は間違いなく挑戦する価値があります。