電気主任技術者の仕事内容を完全解説

電気主任技術者の仕事内容を完全解説――点検・記録・復旧のプロフェッショナル

電気主任技術者の仕事は、「電気設備の安全を守る」こと。これは一言で表すと簡単ですが、実際の現場では専門知識と柔軟な判断力が求められる非常に重要な業務です。電気主任技術者が担う主要な仕事は電気設備の保安と監督、その内容は多岐にわたり、施設によっても求められるスキルが異なります。


 まず最も基本となるのは 「点検業務」 です。各施設には受変電設備と呼ばれる“電気の心臓部”があり、そこには変圧器、遮断器、保護継電器、ケーブルなど、多くの機器が集まっています。これらの機器が正常に動作しているかどうかを定期的に確認するのが、電気主任技術者の第一の仕事です。


 点検は大きく「月次点検」と「年次点検」に分かれます。月次点検は設備の状態をチェックする日常的な点検で、電圧・電流の測定、絶縁抵抗測定、温度確認、異音・異臭の有無などをチェックします。一見すると単純な作業に見えますが、細かい変化に気づけるかどうかが、重大な事故を防ぐ鍵になります。


 一方、年次点検はより大規模な作業です。停電を伴う場合が多く、遮断器の動作試験や保護継電器の動作確認、内部清掃、機器の分解点検など、設備を深く理解していなければ実施できない作業が中心です。特に工場やデータセンターでは年次点検の計画が重要で、事前の日程調整やリスク管理も電気主任技術者の重要な役割です。


 次に重要なのが 「記録・管理業務」 です。電気主任技術者は、点検結果や設備の履歴を正確に記録する義務があります。これは法律で定められており、保安規程に沿って運用されるべきものです。測定データの記録、機器の交換履歴、設備台帳の管理、異常があった場合の報告書作成など、事務的な業務も多く、単に技術力があれば務まる職種ではありません。


 この記録業務は、一見すると地味に思えるかもしれませんが、設備管理の“基盤”となる非常に重要な仕事です。正確な記録があるからこそ、次の点検の基準ができ、設備更新のタイミングを判断でき、トラブル発生時に原因特定が可能になります。経験豊富な電気主任技術者ほど記録にこだわり、データを積み上げることで設備全体を俯瞰し、先を見越した運用ができるようになります。


 そして、電気主任技術者の仕事の中で最も緊張感があるのが 「トラブル対応(復旧)」 です。停電、機器故障、過電流、漏電、雷害など、現場ではさまざまなトラブルが発生します。これらはいつ起こるか予測ができず、発生した瞬間に迅速な判断と対応が求められます。


 例えば、工場でモーターが突然停止した場合、原因が電気系統なのか機械系統なのか、まず切り分けを行います。過電流が流れて遮断器が落ちた場合は、機器側の異常か、ケーブルの劣化なのか、保護継電器の誤動作なのか判断する必要があります。停電の場合は、外部要因と内部要因のどちらかを特定し、復旧手順を即座に組み立てることが求められます。


 このように、電気主任技術者の仕事には高い専門性と冷静な判断力が必要ですが、その分、“設備を守り切った”という達成感や、施設全体から頼られるやりがいがあります。特に病院やデータセンターなど、電気が止まることが許されない現場では、電気主任技術者の存在はまさに“生命線を担う”と言っても過言ではありません。



 総じて、電気主任技術者の仕事は、点検で設備の健康状態を見守り、記録で履歴を管理し、トラブル時には迅速に復旧させるという、電気設備の「総合ドクター」のような役割です。電験三種を取得し実務経験を積むことで、この専門職としての幅広い業務を担えるようになります。