電気主任技術者とは?

電気主任技術者とは?――法律で義務づけられた“電気設備の主治医”

私たちの生活は、電気によって成り立っています。家庭、オフィスビル、商業施設、学校、工場、病院――どの建物にも電気が流れていますが、その裏で必ず存在しているのが「電気主任技術者」という国家資格者です。一般の人には馴染みが薄いものの、実は“電気を安全に使うために欠かせない存在”として法律で義務づけられています。


 電気主任技術者とは、電気設備の保安監督を担い、「電気を安全に、安定して使い続けるための責任者」です。ポイントは、単なる点検者ではなく「安全運用の責任者」であるという点にあります。もし電気主任技術者がいなければ、ビルや工場は法律上電気設備を使うことが許されません。それほど重要な立場です。
主な仕事は大きく3つに分けられます。
 ① 電気設備の点検・測定
 キュービクルや変圧器、遮断器、保護継電器、ケーブルなど、建物の心臓部ともいえる電気設備を定期的に点検します。点検には「月次点検」「年次点検」があり、電流値や電圧、温度などを測り、異常を早期に発見します。


 ② トラブル時の復旧対応
 停電、機器故障、過電流、漏電などのトラブルが起こった際は、原因調査から復旧まで対応します。特に工場や病院などでは「電気が止まる=生産停止・生命維持に直結」するため、迅速かつ正確な判断が求められます。
電気が止まることは今の生活にとって一大事ですから、設備不良による停電を防ぐためにも、日々の電気主任技術者による点検が大事なのです。


 ③ 設備の記録管理と報告
 点検結果や測定データを記録し、保安規程に沿った管理を行います。電気主任技術者は、技術だけでなく“設備全体をマネジメントする役割”も担っています。
 これを見ると、「専門的で難しそう」という印象を持つかもしれません。しかし実際には、すべての作業が専門家しかできないほど高度なものではありません。重要なのは“電気設備を理解し、リスクを見極め、安全な運用を維持すること”。まさに電気設備の「主治医」のような存在と言えます。
電気主任技術者が必要とされる建物は幅広く、職場も多岐にわたります。契約電力が50kW以上の、高圧物件には必要です。
・オフィスビル
・商業施設
・データセンター
・工場
・病院
・大学
・空港・鉄道施設
・再エネ発電所(太陽光・風力)
・蓄電池
 これらの施設は、どれも24時間365日電気を使い続けるため、設備管理のニーズが途切れることはありません。しかも日本は電気設備が古くなってきており、更新や保全の需要はむしろ増えています。技術者不足も相まって、電気主任技術者は「常に売り手市場」と言われています。
 また、電気主任技術者の魅力は働き方の柔軟さにもあります。ビルで日勤中心に働く人もいれば、工場で設備管理の専門職としてキャリアを積む人もいます。保安法人に所属して複数の顧客を巡回する方法、独立してフリーランスとして年収1000万円以上を目指す方法など、選択肢が豊富です。
 そして、この業務に就くための最初のステップが「電験三種」を取得することです。電験三種に合格し、実務経験を経て届け出を行うことで、晴れて電気主任技術者として働けるようになります。
 電気主任技術者は、設備の安全を守り、社会を支える非常に重要な専門職です。表に出ることは少なくても、現代社会のインフラを静かに支え続けるプロフェッショナル――それが電気主任技術者の姿です。